栄養指導、栄養サポートの依頼がなかなか入らないことが悩み

総合病院では様々な科の医師がいて、それぞれの医師の考え方も様々。栄養士や栄養指導、栄養サポートについて前向きな考え方を持っている医師もいれば、そうでない医師も。
栄養指導や栄養サポート介入のオーダーが入らないことも多々ありました。
時として、オーダー依頼をしても「必要ない」の一言で片づけられることも少なくありませんでした。
栄養指導、栄養サポート介入の目標件数が勤めていた病院で定められていたにも関わらず件数アップにつながらないこと、また栄養士として栄養指導や栄養サポートが必要だと感じるケースに介入できないこと、医師にオーダー依頼もし辛いことが多く、実績が挙げられず悩む場面が多々ありました。

システムの構築よりも大切なこと
栄養士が直接医師に栄養指導や栄養サポートの介入の依頼をすることを嫌がられる場合があり、難しいことが多かったです。
栄養指導の件数や栄養管理の件数と診療報酬の点数を計数会議等で示すこと、栄養指導や栄養管理を行うことでの患者の変化を数値化、グラフ化し明確にすることで必要性やメリットを説くようにしました。
また、入院時に治療食のオーダーのあった患者は栄養指導や栄養管理がルーチンでオーダーされるよう、給食委員会やクリティカルパス委員会、システム委員会でシステムに組み込むように流れを構築しました。
オーダリングシステムや電子カルテではオーダリングメールや掲示板システムがあるので、直接医師と顔を合わせてやり取りしなくて済むこともあり、オーダー依頼をしやすいところもあったので存分に活用しました。
栄養士に好意的な医師や看護部長を巻き込み、栄養指導や栄養サポートをシステム化できるよう根回しも行っていました。
仕事外で各科の医師と栄養部門との食事会など交流会も企画するようにしました。
栄養指導や栄養サポートのオーダーに限りませんが、全ての業務に於いて新たに導入すること、流れを変える際は根回し、システム化、そして何よりコミュニケーションを築くこと。ここをきちんと行うことが第一歩になると痛感しました。
コミュニケーションスキルは患者と築ければ良いのではなく、医師始め各部門、職種と築いていけるようにすることが円滑な業務遂行に繋がると感じます。

栄養士であっても診療報酬についての知識は必須!

栄養士であれば、栄養関連の知識の習得、熟知は必須なことは当然です。
学校でもその知識を習得する為のカリキュラムをこなし、学習していました。
しかしながら、社会に出て栄養士として働き始めた頃、看護部や診療部よりむしろ医事部門との連携が欠かせず、問い合わせを受けることと言えば例えば、食数で治療食と一般食の食数の内訳、選択メニュー食の食数(当時選択メニュー食は加算算定できた)について、届け出について、栄養指導件数と内訳等々コストに関する事案が非常に多く、困惑しました。診療報酬についての学習はなく、短大卒業の自分には知識が殆どなく、維持部門からの質問に殆どまともに回答できなかったからです。
どこで勉強すればよいのか、何に書いてあるのか、どこから情報収集したら良いのかということすら分からないというのが正直なところでした。
どうやって診療報酬について知識習得したのか
都道府県の栄養士会主催の研修会の際に診療報酬改定年には情報提供としての研修会が組んであるようでした。
しかし、診療報酬改定年度ではない年は殆どこの類の研修会は開催されず、研修会での知識習得は殆どありませんでした。職場でも「こんなことは知っていて当たり前」といった感じで、今更聞くのもはばかられるという印象でした。
給食委託会社の新卒研修でも診療報酬については軽く触れる程度で殆どないというのが実際でした。
しかしながら医療監査を受ける際も、食数や栄養指導件数等診療報酬に関する項目は厳しくチェックされるので必ず必要になってくる知識だと分かりました。
とりあえず厚生労働省のホームページをチェックすることから始まり、また医事課長に栄養関連の診療報酬の点数や加算の有無等を教わることにしました。医事課長は様々な資料や情報を持っていることから沢山の知識を得るできました。診療報酬点数表なども貸してもらいました。
診療報酬改定の年度は研修会からの情報を待たず自らも積極的に情報収集に努めました。
栄養士が診療報酬についての知識が必要になるなど思いもよらなかったですが、それに関する事項については幅広く知識が必要なのだと痛感した一年目でした。

栄養アセスメントが難しい状況、環境

栄養指導やNST(栄養サポートチーム)での栄養管理において、評価指標として血液検査は外せないものです。
糖尿病の患者さんであれば血糖値、HbA1c以外にHb、Cre、TG、LDLコレステロール等々、低栄養の症例ではAlb以外にコリンエステラーゼ、TP、Hb等々も併せて総合的に評価、把握したいところ。
ところが、担当医によっては糖尿病であれば血糖値とHbA1cのみ、脂質異常症であればTCとTGのみ、低栄養であればAlbのみということも少なくありません。
血液検査の際、電子カルテやオーダリングシステムを導入している病院だと、採血項目がセットになっていて、セットに含まれていない項目は採血オーダーを別で行わないといけないこと、料金が込になっておらず、別途かかってしまう場合もあり、医事課から金額のことで確認される等医師の手間を取られるケースが多くなかなかオーダーしてもらえず、栄養アセスメントし辛いことがしばしばありました。
もっとひどいケースは、栄養指導のオーダーをされても、近々での採血未実施、数か月前の検査データしかないということもあります。それも、継続指導で2回目以降の栄養指導オーダーの場合だと、患者自身の行動変容と検査データとを照らし合わせて評価することで患者の食事療法に対してのモチベーションが上がってくるものですが、採血結果がない場合動機づけにつながりにくく大変。

根本的システムの見直しを
よほど親しいコミュニケーションのいい医師以外に栄養士から採血項目の追加を依頼することはとても難しいです。特に経験年数が浅い栄養士であれば猶更です。
直接栄養士⇒医師という流れではなく、なるべくケースカンファレンス等で医師⇒医師という形での依頼がスムーズですが、それが難しい場合でもなるべく他職種を巻き込んで採血項目やアセスメント方法について話し合えるようにすると良いでしょう。
医事課に事前に確認してコスト的に追加しても変わらない採血項目であれば、システム課も巻き込んで採血項目を追加できるよう話し合いの場を設けるのも良い方法です。
根本的システムを変えてしまわないと、その都度依頼・・・になってしまい栄養士、医師共に手間がかかる為、なるべく給食委員会やNSTのカンファレンスや委員会、クリティカルパス委員会、院内システム委員会といった大きな場で話し合いをしてシステム変更できるようにしましょう。
組織が大きくなればなるほで、数多くの医師に周知してもらうことは難しくなります。
栄養関連のことだからと栄養士だけで何とか解決しようとするのではなく、他職種を巻き込み、採血項目、栄養指導オーダーの流れをシステム化、ルーチン化してスムーズに回すことが大切です。

入院時食事療養費と給食委託契約食費とのかい離

入院期間中の食事の費用は、健康保険から支給される入院時食事療養費と入院患者が支払う標準負担額でまかなわれいています。

入院時食事療養費の額は、厚生労働大臣が定める基準にしたがって算出した額から同じく厚生労働大臣が定める標準負担額を控除した額となっています。

患者さんは標準負担額(1食260円)だけを支払うことになっています。

病院食の費用は、調理にかかる金額が給食委託会社にそのまま入って来る訳ではなく、給食委託会社と施設側との契約で取り決められた金額を施設側から給食委託会社側へ納められるようになっています。患者さんが負担している食費とは必ずしも一致しません。委託契約によっては患者さんの標準負担額にすら満たない契約金の事業所もあります。

給食委託契約での食費はかなり安く、給食委託会社は食材費管理にかなりシビアにならざるを得ません。

どうしても食材費や人件費を抑える為冷凍野菜やカット野菜を使用する率が高くなってしまいます。

しかしながら、患者さん側からしてみると負担額260円と健康保険から支給される食事療養費との金額と比較して、実際出てくる食事が貧しいと感じるとクレームを出してこられます。

当然のことながら患者さんに委託事情を伝える訳にもいかず、少しでも患者さんに満足してもらおうと食材費にかけるコストが少し高くなると、今度は給食委託会社から計数が悪いと注意を受ける・・・。

給食委託会社の栄養士の立場と栄養としての立場の板挟みになることが多いのです。

「お金」がなければ「気持ち」で誠意を

患者さんに給食委託状況を理解してもらう訳にはいかないので、とにかく食事に関して工夫をしました。

素材にお金をかけられない分、手間をかけて見た目を良くする工夫をと考えました。

しかしながら、給食委託会社はいつもマンパワー不足のことが多く、手をかけることも難しいことが多かったです。

卸業者から相見積もりを取り、少しでも安価で入手できるところから商品を卸してもらうようにしたり、行事食の回数を増やし、その分普段の食材費を抑えるようにしたり、器を個室の患者さん分だけでもと陶器のものに変えたりと様々な工夫に取り組みました。

また、入院中の全患者さんの食事内容のクオリティを上げることやニーズに応えることは難しいけれど、せめてターミナル食は充実させようと、終末期の同意書取得済の患者さんに関しては、嗜好調査で出た希望について全対応とするよう工夫しました。

食事を提供している人の顔が分かるとクレームが出にくいのではないかと考え、病室訪問の回数も増やしました。喫食調査、残菜調査の回数を増やし人気メニュー、不人気メニューの把握も徹底的に行いました。

クレームが出た場合は、意見を出された患者様の希望のメニューを近日中に献立に取り入れることも意識し、「意見を出すとすぐ反映される」という満足度向上にも勤めました。

特殊な個別対応に関しては、調理師に依頼するのではなく、自分が調理現場に立ち、対応することもしていました。

「お金」がなければ「気持ち」を込める・・・このスタンスで頑張っていました。

 

 

 

言葉の壁にぶつかる

勤めていた給食委託会社は栄養士も全国転勤がある会社でした。

転勤の頻度、回数、配置先は特に基準がないようで、同期の栄養士でも入職後何年も同じ職場に勤務の栄養士もいれば、半年毎に市内の施設をくるくる移動・・・という栄養士もいました。私自身は5年給食委託会社にいましたが、その間配属された施設は病院、福祉施設様々で合計5施設。

5施設中病院は4つでした。4か所の配属先のうち3か所は出向栄養士という形での配属だったことから、給食委託会社の栄養士でありながら栄養指導を担当させてもらっていました。

栄養指導業務は栄養士としてとてもやりがいのある業務でしたので、張り切って臨んでいましたが、一つだけ苦労がありました。

それは「言葉」の壁です。同じ市内や県内での異動の場合は問題なかったのですが、他県へ転勤の際は方言にかなり苦労しました。

1か所、とてもクセのある方言を話される街で栄養指導の食事聞き取り調査で患者さんが話していることがまず聞き取れない!特殊な方言は意味が全く理解できない!

何度も聞き返して患者さんを怒らせたこともしばしば。聞き取りに不必要に時間を取られ、30分の栄養指導枠でまとめることができず、指導時間オーバーになって、外来の看護師や診察担当医からクレームが出たこともありました。

「壁」と受け止めず「コミュニケーションのツール」と受け止めること

栄養指導や病室訪問で患者さんと話しをしていて、分かり辛い表現はその都度はっきり確認するようにしました。また、指導前や話をする前に自己紹介と併せて「転勤してきたばかりで方言が聞き取れないこともあるかもしれない」と断りを入れてから始めるようにしたところ、患者さんのほうから逆に方言で話され、その意味も丁寧に説明してくれることも増えました。そのやり取りでラポールの形成がスムーズになったようにも思えます。

また、職場の人と話すときには覚えたての方言を敢えて会話に使うようにしたり、時にはわざと間違えた使い方をして、周りから教えてもらったり笑われたりということもコミュニケーションの一つとして行っていました。

休憩中に課内のスタッフからはクイズのように「この方言の意味は分かる?」というような会話も飛び交い、言葉の壁をコミュニケーションの入り口に変えることができたように思います。

慣れない土地や人との隔たりを「壁」と受け止めず、コミュニケーションを築く為の「ツール」という受け止め方ができると、人間関係も業務遂行もスムーズに行くようになるのだと学びました。

 

 

 

給食委託会社は横の連携が強い・・・は嘘?

給食委託会社に入職しました。給食委託会社は社内研修等が充実していると聞いていたので、いきなり配属された施設で献立作成、発注、食糧構成、日計表といった病院での給食管理の資料を作成させられるというようなことが少ないと考えたからです。また、そういう状況に例えなったとしても給食委託会社員同士横の連携が強いことや、栄養衛生課員の職場巡視がある為、分からないことは即質問に答えてもらえるということも聞いていたからです。
しかしながら実際入職してみると、入職時研修では栄養士のみならず調理師、営業、業務担当の新入職員全てが集合し、会社の社是、就業規則、委託契約についてなどの会社員としての基本研修と、給食月報(給食委託会社の食数や契約金の管理簿)等の帳簿の付け方のみの研修であり、栄養士の専門的な研修や給食管理類の書類についての指導は一切ありませんでした。
また、同期の栄養士はメール等連絡先の交換も行い、分からないことは連絡を取り合うことができましたが、同じ給食委託会社の先輩栄養士はどの施設に配属されているのかも分からず、どこに問い合わせて良いか分かりませんでした。また、栄養衛生課員の職場巡視も昼休みなど時間に余裕がある時に来られる訳ではなく、時として一番忙しい配膳前の時間に顔だけ出してすぐ帰ってしまわれることもありました。
分からないことがあっても配属される施設によって、先輩栄養士がいる施設は色々分からないことは教えてもらえやすいようでしたが、栄養士1人配属の施設では何も分からない同期の栄養士同士で相談し合うばかりで「教えてもらう」ことは少なかったです。

ネットワークは自分で作るもの
とにかく同期の栄養士達と密に連携を取り、栄養衛生課員や業務担当者などが自分の配属先を訪問した際に話ができるようであれば、誰か同期の栄養士で困ったことや悩みを抱えている人がいたら、担当者に「○○さんが△△のことで悩んでいた」「相談したいことがあるみたいだ」と伝えるようにし合っていました。
また、会社内の懇親会で他の施設に配属されている先輩栄養士達と顔見知りになることができ、交流が深まるので積極的に参加するようにして自身で横の連携を持てるようにしていました。会社での連携のみならず、各都道府県の栄養士会に入会して、参加できる時はなるべく参加するようにして顔見知りを作るように意識していました。給食委託会社だから横のつながりが強い・・・研修会で分からないことは教えてもらえる・・・と甘んじているのではなく、自らでネットワーク作りを行っていくことや自己研鑽を積んでいくことが大切だと思いました。